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【問33】一番のノイズ発生源「DC-DC制御ICとインダクタ間」を最小化せよ ~加えて,結合したり,伝搬・拡散させたりする回路や配線を遠ざける~

一番のノイズ発生源「DC-DC制御ICとインダクタ間」を最小化せよ ~加えて,結合したり,伝搬・拡散させたりする回路や配線を遠ざける~
[原著] EMC Question of the Week 2017-2020
[著] Todd Hubing (LearnEMC社代表,米クレムソン大学名誉教授)
[訳] 櫻井 秋久
[企画・制作] ZEPエンジニアリング
 
 
 
問33 [レベル:基本]
図1に示すのは,降圧型DC-DCコンバータ基板の部品面のプリント・パターンです.ノイズ源である「スイッチング電圧ノード」を示す配線およびパッド(1)は,コンバータICと何を接続させていますか?
 (a) 入力キャパシタ (Cin)
 (b) 出力キャパシタ (Cout)
 (c) パワー・インダクタ (L)
 (d) グラウンド
 
 
 
  ●即答
 正しい答えは(c)です.

 「スイッチング電圧ノード」は,コンバータICとインダクタの接続部です.ここには制御されない電圧変化 dV/dt が生じます.これは,降圧型コンバータと昇圧型コンバータのいずれの場合にも当てはまる接続形態です.

 スイッチング電圧ノードの表面積(インダクタのパッドとICへの配線トレース)は,常に最小にするべきです.また,コンバータのスイッチング・ノイズが結合して,他に伝搬させる可能性があるトレースや回路を制御ICからなるべく遠ざける必要があります.

 ここに示した基板のレイアウト図(図1)は,電源IC TLV62065(テキサス・インスツルメンツ製)のデータシートが基になっています.スイッチング電圧ノードの面積が最小化された素晴らしい仕上がりと言えます.この例では,制御ICとその周辺部品の直下にベタ・グラウンド層を設けることが前提になっています.


図1 DC-DCコンバータICとパワー・インダクタの間の
スイッチング電圧ノードはノイズ源である


訳注
(1)DC-DCコンバータICとインダクタを接続するパッドとトレース


 
 本稿は,2017年3月17日~2020年末の約3年間にわたり,米クレムソン大学名誉教授Todd Hubing氏が「今週のEMC問題」と題して,自社Webサイトに掲載した記事の翻訳です.本質的かつ実用的な問題が多く,世界中の回路基板設計者に愛読されています.
 高速化するディジタル・システムの電磁両立性(EMC,Electro-Magnetic Compatibility)をいかに実現するかは,技術者の本質的なテーマであり,多くの現場でカット・アンド・トライによる対策が行われ続けています.
 本メルマガでは,基本的ものから高度なものまで,マクスウェルの理論に基づいて,EMCの正しい対策を確信的に示します.なお本連載は,書籍化を予定しています.

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