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1.MOS FETの特性 2.データシートの簡単な見方
3.MOS FETの駆動回路 4.MOS FETの選定
パワーMOS FET
スイッチング素子としてはトランジスタまたはMOS FETなどがありますが、近年は「パワーMOS-FET」が主流 になってきています。
特に大電力用のMOS FETをパワーMOS FETと言い、簡単にマイコンまたはデジタル回路と接続(インターフェース)できる製品もあります。

そこで、パワーMOS FETの簡単な使い方と製品を紹介します。

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MOS FETの特性
★ゲートしきい値電圧

パワーMOS FET(以下、MOS FETと呼ぶ)は図1のように「エンハンスメント特性」 です。
つまり、ゲート・ソース間電圧VGSを大きくするに従いドレイン電流IDも増加 します。

この特性でドレイン電流が流れはじめるゲート・ソース間電圧を「ゲートしきい値電圧」と言います。
(流れはじめるドレイン電流値は例えば、1mAまたは10mAなどと規定する)

したがって、ゲート・ソース間(VGS)にゲートしきい値電圧より十分小さいものを印加すれば、
ドレイン電流は非常に小さくなりますので、
スイッチ的に「OFF」です。
また、ゲートしきい値電圧より十分大きな電圧を印加すれば大きなドレイン電流が流れることになりますので、これはスイッチ的に見れば「ON」です。 

このようにVGSにデジタル的な2値の電圧を印加すればMOS FETをスイッチ素子として 用いることが出来ます。



例えば図2のようにVGSを0Vまたはゲートしきい値電圧より十分大きい電圧を印加すれば
LEDの消灯/点灯を行うことが出来ます。



ゲートしきい値電圧はデータシートの「電気的特性」の項目の1つで、 半導体メーカーにより若干の項目名、記号が異なります。

表1に主なメーカーでの項目名、記号を示します。
表1 ゲートしきい値電圧  (各データシートから抜粋)


他に「ゲートカットオフ電圧」などの表現がある 

★トランジスタとの比較

図3にスイッチとして用いた場合のトランジスタとMOS-FETの の違いを示します。

スイッチONの場合、トランジスタはコレクタ・エミッタ間の電圧はゼロではなく、
なんらかの電圧が残り、これをコレクタ飽和電圧VCE(sat)と言い、この時のコレクタ電流との掛け算が
コレクタ損失Pcで、この電力はトランジスタ自身が消費し熱となります。
(オームの法則 P = V × I )

これに対しMOS-FETの場合、ドレーン・ソース間電圧はわずかで、 飽和電圧のかわりにドレイン・ソース間オン抵抗RDS(ON)で表わします。

RDS(ON)はMOS FET自身の抵抗ですからこの時にMOS FETが消費する電力PDは この抵抗にドレイン電流の2乗を掛け算したものになります。
(オームの法則 P = R × I × I )

ドレイン・ソース間オン抵抗は数ΩからミリΩ単位のものになり、同じ消費電流(コレクタ電流、
ドレイン電流)でもMOS FETのほうが消費電力が少なく、場合によっては放熱器が不要になります。


このようにMOS FETは放熱の点で有利で、また、スイッチのON/OFFに要する時間は
トランジスタと比較して速い
のも特徴の1つです。


MOS FETの駆動回路
ここではLED点滅などの比較的スイッチングスピードの遅い回路を対象とした駆動回路例を紹介します。

★Nチャネルの場合

極性的にはトランジスタのNPNに相当します。

図4のようにゲートしきい値電圧より十分大きく、また、十分なドレイン電流が流れるような
電圧を印加すればONします。
この場合、デジタル的に考えればINとOUTの論理は反転し、電流は
「Vcc→RL→ドレイン→ソース→GND」と流れ、このようなものを「シンク駆動 」と言います。



図5はデジタル回路(マイコン等)から駆動する例です。
MOS FETをONするための電圧が5V系では駆動できない場合、トランジスタ等を用いて
十分大きな電圧に変換しています。



★Pチャネルの場合

極性的にはトランジスタのPNPに相当します。

図6に基本形を示します。
Nチャネルと同様にゲート・ソース間しきい値電圧Vthに対して十分大きいか小さな電圧を印加しますが、
電位的にPチャネルはソースよりゲートのほうが低くなった場合にONです。
また、ソースとゲートが同電位でOFFです。



図7はデジタル回路(マイコン等)から駆動する例です。

これも図5と同様にトランジスタにより電圧変換を行いますが、トランジスタがOFFの場合、
ゲート・ソース間電圧は同電位になりますので、これによりMOS FETはOFFになります。



図8はマイコンを用いた鉛蓄電池の充電回路例です。
鉛蓄電池の充電電圧をADにて監視し、ポート出力でQ1を制御します。



★4V駆動などの低電圧駆動MOS FETを用いる

一般的なMOS FETの制御はVthより十分大きな電圧が必要になりますが図9のように
「4V駆動」、「2.5V駆動」、「1.5V駆動」などのMOS FETがあり、これを「低電圧駆動品(素子)」
と言います。これは一般的なMOS FETの特性よりVthの値を下げてデジタル回路から直接駆動
(インターフェース)できるもの
です。



図10に4V駆動 MOS FETを用いた5V系デジタル回路との回路例を示します。


データシートの簡単な見方
LED駆動などの低速スイッチで用いる場合に着目する主な項目について説明します。
特に「最大定格」はいかなる条件でも超えてはならない限界値 です。

★ドレイン・ソース間電圧VDSS (最大定格)

ドレイン・ソース間に印加可能な最大電圧。(耐圧)

★ゲート・ソース間電圧VGSS  (最大定格)

ゲート・ソース間に印加可能な最大電圧。
低電圧駆動品ほど低い値なので注意。

★ドレイン電流  (最大定格)

連続動作(直流)およびパルス動作時で規定。
連続動作時はIDなどの記号、パルス動作時はIDPまたはID(pulse)などの記号。

★許容損失PD  (最大定格)

MOS FET自身が消費できる最大電力。
同じ意味で「許容チャネル損失Pch」、「全損失PT(Total Power Dissipation)」
などの項目名、記号。

この最大電力は基本的にMOS FETのケース温度が25℃の条件(状態)での値。

★ドレイン・ソース間オン抵抗

スイッチON時のドレイン・ソース間の抵抗。
これにドレイン電流の2乗と掛け算したものがMOS FETの電力。
オン抵抗はゲート・ソース間電圧が大きいほど小さくなり、また、ケース温度が
高くなるほどオン抵抗は大きくなる。(図11、図12)
また、ドレイン・ソース間電圧の低い品種(素子)ほど小さいので必要以上に
耐圧の高い品種を選ばないほうが許容損失の点で有利。


MOS FETの選定
MOS FETの選定を簡単にまとめると次のようになります。

★必要以上にドレイン・ソース間電圧VDSSの高いものにしない
★デジタルとの接続は低電圧駆動(4V、2.5Vなど)を用いるとインターフェースが楽
★ノイズが多い場合は低電圧駆動ではなく、ゲートしきい値電圧Vthの高いものにして大き目の電圧で駆動する



図13   四角形 四角形 2SK2233
図14   2SJ401 2SJ529
図15
2SK3314 2SK2968
図16  IRF8010PBF IRFB52N15DPBF IRFB38N20DPBF IRF540ZPBF IRFB33N15DPBF IRFIZ34EPBF IRFB23N15DPBF IRFIZ34EPBF IRFB23N15DPBF 2SK3176 IRFIZ24EPBF IRFIZ24NPBF IRFB4020PBF
J-FETでの増幅 MOS-FETでの増幅 MOS-FETによるスイッチングの基礎