◎はじめに
オペアンプ回路は理解しているつもりでも、実際の回路設計において「どのようなオペアンプ」を用いたら良いか迷うことが多いと思います。
特に近年はアナログ信号をマイコンを含めたディジタル回路へ接続するインターフェース的な役割でオペアンプが活用されることが多くなっています。 また、このようなディジタル回路部で用いるオペアンプは単電源動作が望ましく、ますます、オペアンプの選定に迷うところです。
そこで、従来からある汎用オペアンプ(両電源)、単電源用オペアンプ、CMOS構造オペアンプ、さらにレール・ツー・レール(Rail-to-Rail)オペアンプの特徴を理解し、実際のオペアンプ選定に役立てていただければと思います。

オペアンプの分類

オペアンプは、用途、性能、構造などで汎用、単電源、CMOS、高精度、高速、差動(計装)などのように細かく分類されます。それぞれ、回路、用途によって選定しますが、よく使われる以下の4つの分類について特徴等を解説します。

1.汎用(両電源)オペアンプ

・汎用とは特別な機能、高性能はないが、一般的な回路(用途)で用いられるオペアンプのこと。
・電源はプラスマイナスの「両電源」動作を基本とする。
・オペアンプの内部構造は、トランジスタなどの「バイポーラ」または「FET入力タイプ」
・普通に用いて、発振等が発生しなく、安定に動作するもの

2.単電源オペアンプ

・単電源動作が可能なバイポーラ構造
・レール・ツー・レール動作は含まない

3.CMOSオペアンプ

・レール・ツー・レールは保証していないが、定電圧動作、低消費電流などで特徴のあるCMOS構造のオペアンプ

4.レール・ツー・レール(Rail-to-Rail)

・入出力がRail-to-Railと表現されているもの



▼各分類解説の前に基本となる電源供給、波形等について解説します。

電源供給と波形

【1】両電源の場合




オペアンプは図1のように2つの電源端子があります。
基本的にはプラスの「+Vcc」とマイナスの「-Vee」が必要です。

両電源動作時の出力波形例を図2に示します。 出力波形はGND(0V)を中心にして+Vccと-Veeの間で振れ、扱う信号レベルが小さければ図2 b)のように+Vccと-Veeの値が異なってもいいです。

両電源動作

【2】単電源の場合

電源に+Vcc(または-Vee)のみを供給する方式を「単電源」と言います。
図3に電源の与え方を示します。 図3a)が基本的な単電源の与え方で、出力信号は+VccとGNDの間です。 図3b)はオペアンプの+Vcc端子にGND、-Vee端子にマイナスの電源を接続した例で、この場合でもオペアンプは正常に動作しますが、扱える信号はGND~-Veeの間です。
また、単電源用オペアンプは必ずしも単電源動作(供給)ではなく、図3 c)のように両電源動作で用いても構いません。

単電源オペアンプの電源供給

レール・ツー・レールとは

汎用の両電源および単電源オペアンプは、供給した電源電圧の範囲内すべてで信号を扱うことができません。
これに対し、オペアンプの電源電圧(+Vcc~-Vee)いっぱいまで動作するものを「レール・ツー・レール」オペアンプと言います。 なお、レールとは電源電圧を指しています。
図4にオペアンプに+VccとGNDを供給した場合のレール・ツー・レールの信号波形を表します。

レール・ツー・レール(Rail to Rail)

ダイナミック・レンジとは振幅の範囲のことで、図5に各方式の違いを示します。
汎用(両電源)の場合は+Vcc、-Vee付近での振幅レベルは扱えなく、汎用単電源の場合は+Vcc付近は扱うことができません。

ダイナミックレンジの違い

オペアンプのデータシートを見ると色々な特性項目があり、実際のオペアンプ選定には これらの項目(用語)の意味を理解しておく必要があります。
そこで、オペアンプの特性を把握(理解)する目的で用語解説を行っています。 このページでは「同相入力」(どうそうにゅうりょく) について解説します。

同相信号と差動信号

同相信号(入力)と差動信号(さどうしんごう)という用語があります。
これは図1のように増幅器の2つの端子に加わる信号状態を言い、差動信号は2つの端子間に差分として加わります。
これに対し同相信号は2つの端子に同じ信号が加わる状態です。

同窓信号と作動信号

同相入力電圧範囲

同相信号とデータシートにおける「同相入力電圧」の関係は次のとおりです。
図2 a ) の反転アンプはバーチャルショートによりプラス端子とマイナス端子は同電位で、この場合、プラス 端子がGNDに接続されていますからマイナス端子も、ほぼ、GNDです。 大きな信号を反転アンプに入力してもマイナス端子は常にGND電位となります。 しかし、図2 b ) の非反転アンプの場合、入力信号がそのまま印加される可能性があり、この状態は図2 c ) のように同相信号が加わった状態です。
この場合、大きな信号に対してオペアンプが破損しない項目(規定)がデータシートにおける絶対最大定格 の「同相入力電圧」です。

反転アンプと非反転アンプ

絶対最大定格の「同相入力電圧」はオペアンプが破損しない許容値を表わします。 これとは別に「電気的特性」において「同相入力電圧範囲」という項目があります。 この同相入力電圧範囲はオペアンプ、コンパレータが正常に動作する入力電圧(範囲)のことです。
両電源用汎用オペアンプに入力信号を電源電圧近辺まで入力した場合は図3 a ) のように動作します。 (予期しない動作はオペアンプの内部構造により異なる) 図3 b ) のように入力信号は電源電圧(+Vcc,-Vee)近辺を入力すると誤動作し、 正常に動作する信号 レベル(範囲)を「同相入力電圧範囲」と言います。

入力の振幅制限

このようにオペアンプに同相入力電圧範囲を超える信号が入力される場合、注意が必要です。 図4に数値例を示します。

実際の例

以上をまとめると、
 ●最大定格の同相入力電圧 → オペアンプが破損しない入力電圧の許容(最大)値
 ●電気的特性の同相入力電圧範囲 → オペアンプが正常動作する入力電圧範囲
また、オペアンプの電源端子は+Vccと-Veeですから、図5のように+VccとGND(0V)の単電源でも動作 します。しかし、入力信号がGND(0V)になると出力が予期しない動作となってしまいます。 つまり、両電源用オペアンプを単電源動作するとGND近辺の信号は動作しないということです。 波形データ1に実際の「予期しない波形観測例」を示します。

両電源オペアンプを単電源動作させる 予期しない波形例

0V(GND)入力を可能にした単電源オペアンプ

汎用両電源オペアンプを単電源で動作させた場合、特に0V(GND)近辺の信号が入力されると出力が 予期しない波形となる不具合が発生しますが、0V(GND)が入力されても正常に動作するものが 単電源オペアンプです。
単電源オペアンプは特に0V(GND)が入力されても正常動作するように工夫されたもので、図6にオペ アンプの入力段構成例を示します。

単電源と両電源オペアンプの入力段構成例

図7に単電源オペアンプの「LM358A」の同相入力電圧範囲を示します。 同相入力電圧範囲は 0V~(+Vcc-1.5V) となり、0V(GND)入力でも正常動作します。

同相入力電圧範囲 LM358Aの場合

表1に主なオペアンプのデータシートから読み取った同相入力電圧範囲を示します。
LM358は min 0V max V-1.5 の表現ですが、これは 0~(Vcc-1.5) の範囲を意味し、LM2902の 0 to Vcc-1.5V と同じです。 なお、同相入力電圧範囲は電源電圧に依存しなく、各電源電圧での例を図8に示します。

型番 電気的特性 項目名 数値 条件 備考
MC33078 Common Mode Input Voltage Range 14V(typ) 電源15V 両電源用
NJM4558 同相入力電力範囲 14V(typ) 電源15V 両電源用
NE5532 Common Mode Input Voltage Range 13V(typ) 電源15V 両電源用
LM2902 Common Mode Input Voltage Range 0 to Vcc -1.5V   両電源用
LM358 Common Mode Input Voltage Range min 0V
max V-1.5V
  両電源用

各電源での同相入力電圧範囲

単電源用オペアンプとレール・ツー・レール

図1は単電源システムにおいて 0V(GND)を含んだセンサ信号をマイコンのADで取り込む例で、 増幅用として用いるオペアンプは「単電源用」が必要です。

センサ信号をADで取り込む

ただし、扱う信号レベルによっては一般的な単電源用オペアンプでは 十分な機能(動作)が得られない場合があり、 「レール・ツー・レール」(Rail-to-Rail) オペアンプが必要になります。
このページでは 単電源用オペアンプとレール・ツー・レールオペアンプの使い分けについて 解説します。

入出力特性の違い

図2に「入出力特性」を示します。 一般的な単電源用オペアンプは a ) のようにVcc近辺の信号を扱うことが出来ず、 この例では「非直線」の特性です。 この特性になる理由は、
 ・入力側は「同相入力電圧範囲」の影響
 ・出力側はオペアンプ内部の出力段構成による影響
これに対し、レール・ツー・レールのオペアンプでは b ) のように、 0V~Vccの範囲まで扱う(動作)ことが出来、 ほぼ、入出力の関係は「直線」です。

入出力特性

このようにレール・ツー・レールは0V~Vccの範囲まで扱うことが出来ますので、 単電源システムでの信号処理用途では使い勝手の良いオペアンプと言えます。

入力レール・ツー・レールと出力レール・ツー・レール

レール・ツー・レールは図3のように、入力信号側で0V~Vccの範囲で動作するものを 「入力レール・ツー・レール」、出力信号側で0V~Vccの範囲で動作するものを 「出力レール・ツー・レール」と言います。また、入出力ともにレール・ツー・レールのものを 「入出力レール・ツー・レール」と言います。
なお、レール・ツー・レールのことを「フルスイング」 と表現している半導体メーカーもあります。
 入力レール・ツー・レール ⇔ 入力フルスイング
 出力レール・ツー・レール ⇔ 出力フルスイング
 入出力レール・ツー・レール ⇔ 入出力フルスイング

レール・ツー・レール

センサアンプでの使用例

単電源用オペアンプで可の場合

この例ではADの基準電圧VREFは電源Vccの半分の値です。 つまり、ADで取り込みたい信号の振幅レベルはVccまで扱いません。 処理したい信号振幅レベルは0V~2.5Vですから、用いるオペアンプの同相 入力電圧範囲がこの値を満たしていれば単電源用オペアンプで使用可です。

単電源オペアンプで可

入力レール・ツー・レールが必要な場合

図5はADの基準電圧VREFがVccで、センサ信号のVcc近辺の振幅を検出 したい場合です。 この場合、同相入力電圧範囲はVcc近辺まで必要ですから、入力レール・ ツー・レールのオペアンプを用います。

入力レール・ツー・レールが必要

出力レール・ツー・レールが必要な場合

図6は小さなセンサ信号を増幅し、Vcc近辺までADで取り込みたい例です。
この場合、出力レール・ツー・レールのオペアンプが必要です。

出力レール・ツー・レールが必要 

入出力レール・ツー・レールが必要な場合

図7はD/Aコンバータ出力をオペアンプによる「バッファアンプ」を用いる例で、 この場合、入出力レール・ツー・レールが必要です。

入出力レール・ツー・レールが必要 

実際の入出力特性

図8に5V動作時の単電源およびレール・ツー・レールの場合の入出力特性を示します。
図8 a ) は一般的な単電源用オペアンプLM358Aを用いた場合の特性で、 入力側は同相入力電圧範囲で制限され、出力は振幅特性と負荷抵抗値で制限されます。 入出力ともに電源電圧から2Vの範囲は使えませんが前記図4の用途であれば動作可能です。
図8 b ) は入出力レール・ツー・レールオペアンプ LMC6482の場合です。 入出力ともに広い電圧範囲ですから、低い電源電圧のアプリケーションに適しています。 なお、この場合も出力側の振幅範囲は負荷抵抗値により異なり、詳細はメーカーのデータシートを参照願います。

各オペアンプの入出力範囲

オフセット電圧

特に「直流増幅回路」で重要なのが「オフセット電圧」です。
例えば、センサ信号を増幅し、ADコンバータで取り込む場合、 誤差となる場合があります。
そこで、オフセット電圧の原因と算出(見積もり)方法について解説します。

入力オフセット電圧VIO

オフセット電圧の定義

オフセット電圧

理想的なオペアンプは入力信号がゼロの場合、 出力電圧はゼロになります。
しかし、実際のオペアンプは図1のように、 入力がゼロでも出力になんらかの直流電圧が 現れます。これを「オフセット電圧」と言います。
このオフセット電圧は一般的には 数mV~数10mVの値ですが、直流信号を扱う 増幅回路では特性に影響を与えます。

オフセットによる影響

図2 a ) のような「センサ出力信号」 があったとしますと、オペアンプの オフセット電圧が大きいと、図2 b ) のように出力信号が「点線」のように なってしまいます。 これでは正確な増幅ができないことになります。 これに対し、交流信号のみを扱う 交流アンプの場合は、 図3のようにオフセット電圧 が生じてもコンデンサC3により オフセット電圧は出力(C3を通った後)には 現れないので増幅回路としてはあまり、 影響を与えません。

交流アンプ

オフセット電圧が生じる原因は オペアンプ内部の入力回路における トランジスタの特性の 違いによるものです。 これは、図3のようにオペアンプの 入力回路はTR1TR2の2個の トランジスタで構成されていますが、 理想的にはこのトランジスタは同じ特性です。 しかし、実際には特性に差があるので これによってオフセット電圧が生じます。 オフセット電圧はデータシートでは 「入力オフセット電圧VIO」で 表記されています。 例えば「NJM4558」の場合、VIO = 0.5mV(標準) となっています。
この意味は 「オペアンプの出力電圧を0Vにするために 必要な入力端子間の差電圧」です。 つまり、オフセット電圧は生じるものなので、 逆に出力電圧がゼロになるための 入力端子間に必要な差電圧を言っています。 例えば、上記の VIO = 0.5mV はこの電圧差を 入力に加えれば、出力電圧は ゼロになるということです。 したがって、別な意味では、入力がゼロの場合、 出力には0.5mVの電圧が 現れるということになります。 これが、「オフセット電圧」です。

入力オフセット電圧VIOの定義

以上の説明を図にすれば、図4になります。 電池マークのVIOが入力オフセット電圧です。
この図ではVIOはプラスの電圧になっていますが、 必ずしもプラスでは無く、マイナスの電圧もあります。 正確に表現するのであれば、VIOは VIO = ±0.5mV です。
また、図4における抵抗RSはVIOを 規定するための信号源抵抗、 データシートで「測定条件」として 掲載されています。 (NJM4558のデータシートでは RS = 10KΩ)

オフセット電圧の計算

オフセット電圧E0

データシートでの「入力オフセット電圧VIO」は 入力電圧に換算したもので、値は増幅度により 異なります。(増幅度により変化する) この値は増幅度が大きくなるほど大きくなります。
オフセット電圧Eoは次式で計算します。

この計算式は「反転アンプ」、「非反転アンプ」 ともに同じです。 アンプの入力がゼロといういうことは 図5のように表現できます。 反転、非反転は図5を良く見ると、 どちらも同じ回路です。

オフセット電圧の計算

(計算例)
NJM4558の場合     
 VIO = 0.5mV 図6の定数で
 Eo = {(10K+100K)/10K}×0.5mV
 =5.5mV

入力バイアス電流 IB

バイアス電流の意味

バイアス電流

オペアンプの入力部はトランジスタ、 FET、CMOSなどの差動増幅回路で構成され、 NPNトランジスタでの構成例を図7に示します。 トランジスタはベースに 電流を流すことにより動作し、 これをバイアス電流と言います。

入力バイアス電流IBの定義

オペアンプの出力電圧が0Vの時、入力端子に流れる電流の平均値です。
マイナス電子に流れる電流をIB-、プラス端子に流れる電流をIB+とすれば、
入力バイアス電流IBは
    IB={ IB (-)+IB(+)}/2 -----------②


図8ではそれぞれの端子に流れる電流の向きを 右にしていますが、これとは逆に 左に流れるオペアンプもあります。
これは、オペアンプの内部の入力回路がNPN トランジスタであれば、右向きになり、 PNPトランジスタでは左向きになります。 (NJM4558はPNPなので左向きになります) このバイアス電流もオフセット電圧として 出力に現れます。 入力オフセット電圧も含めたオフセット電圧は 図9の非反転アンプの場合、③式で表現されます

③式において、右辺の第1項は「入力オフセット電圧」によるもの、 第2項と第3項は入力バイアス電流によるものです。
反転アンプの場合は図8の非反転アンプにおいて、Rinが無く、オペアンプのプラス端子をGNDに 接続したものですから、③式の第2項を削除したものになり、④式で計算します。

反転アンプ

入力オフセット電流 IIO

入力オフセット電流 IIO の定義は以下のとおりです。

つまり、プラス端子とマイナス端子のそれぞれのバイアス電流の差分です。

オフセット電圧の計算例

①オペアンプの種類による違い
オペアンプの種類によりオフセット電圧がどのくらい出力されるか計算してみます。 図11は入力信号(0~1.25V)を0~2.5Vに変換する回路です。

レベル変換回路

比較するオペアンプは「LM358」と「LMC6482AI」で、規格は以下のとおりです。

(LM358)
入力オフセット電圧VIO 7mV(max)
バイアス電流IB 250nA(max)
(LMC6482AI)
入力オフセット電圧 VIO 1.35mV(max)
バイアス電流IB 4pA(max)

このように出力におけるオフセット電圧の最悪値が予想されます。 例えば、ADコンバータを8ビット、基準電圧を2.5V(2500mV)とすれば、その1LSBは
 1LSB = 2500mV/256≒9.76mV
この場合、LM358を使用すると大きな誤差となり、LMC6482AIを用いれば オフセット電圧はAD変換値に影響を与えないことが分かります。 このように図11のR1が1MΩと極端に高い例で計算しましたが、 抵抗値が大きい場合のオフセット電圧はバイアス電流による影響が支配的です。
バイアス電流はオペアンプの入力部の構造により大きく異なり、 一般的なオペアンプは入力部がトランジスタです。 このようなオペアンプを「バイポーラ構造」と言います。 また、他に「FET入力構造」、「CMOS構造」などがあり、バイアス電流はバイポーラと比較して、 FETおよびCMOSタイプのほうがかなり小さいです。表1に主なオペアンプの特性を示します。
バイポーラ構造のバイアス電流は概ね、nAオーダーですが、FETおよびCMOS構造はpAオーダーです。

参考
n→ナノ(10-9) p→ピコ(10-12


  オペアンプ 入力オフセット電圧 バイアス電流
typ max typ max
バイポーラ 汎用 NJM4558 0.5mV 6mV 25nA 500nA
バイポーラ 汎用 LM358 2mV 7mV 45nA 250nA
バイポーラ 高精度 AD8599 0.015mV 0.12mV 40nA 210nA
FET 汎用 LF411 0.8mV 2mV 50pA 200pA
FET 汎用 LF412 1mA 3mV 50pA 200pA
FET 高精度 AD8610A 0.085mA 0.2mV 2pA 10pA
CMOS LMC6482AI 0.11mV 1.35mV 0.02pA 4pA
CMOS LMC6442AI 0.75mV 4mV 0.005pA 4pA
CMOS LMC6462AI 0.25mV 1.2mV 0.15pA 10pA

こちらのページでは"汎用"ではない特別なオペアンプである、特性強化型のオペアンプをご紹介します。"汎用オペアンプ"の定義は曖昧ですが、慣例的に"特性を気にせず使うことのできる用途に向くオペアンプ"という程度の意味です。ここでは、"特性を気にしなければならない特別な用途向けのオペアンプ"を取り上げます。
初期のオペアンプは直流を主体とした低周波(数kHz以下)を正確に増幅するための特殊なアンプで現在のように万能ではありませんでした。最近では様々な増幅器を構成する場合の最小単位の部品としてかつてトランジスタなど個別部品で構成していた回路から置き換わりつつあります。ほとんどのアンプ(増幅回路)がオペアンプを使って作れるようになりましたが、特別な用途に向けて特性改善が施された製品が数多く存在します。

1.高精度オペアンプ

直流電圧を高精度に取り扱うことが目的のオペアンプで主に次の要件を満たします。
1)入力オフセット電圧が小さい
2)電圧利得が大きい
3)特性の温度変化と経時変化が少ない
このジャンルの代表はOP-07です。OP-07はほぼ直流専用ですが、最近では周波数特性が良く交流信号も高精度に取り扱うことができる製品もあります。

OP-07 AD  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=OP-07
OP177 AD http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=OP177
OP2177 AD http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=OP2177
OPA2277 TI http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=OPA2277
OP200 AD http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=OP200

1.1.低オフセット電圧オペアンプ

 汎用オペアンプの入力オフセット電圧を小さくしたもので高精度オペアンプの簡易型です。一般には特に区別はされません。汎用と呼ばれるような使い方でも入力オフセット電圧だけは小さい方が都合のよいことが多いためそのような用途に向いています。高精度オペアンプは回路や生産工程を特殊化しており高価な上に特性も特殊な場合もありますが、低オフセット電圧オペアンプは比較的安価で汎用品と同じ使い方が可能です。
入力オフセット電圧VOS=1mV程度の汎用オペアンプの低オフセット電圧版も通常版との対比で"高精度"と称されることもあるのでVOS < 0.1mVの高精度オペアンプと同列と誤解しないように注意してください。

LF411   http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LF411
LMC662  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LMC662
LMC6061  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LMC6061

1.2.ゼロドリフトアンプ

オフセット電圧をゼロに自動校正するオペアンプです。ICの高精度オペアンプでは最も低オフセット電圧です。校正の最中もオペアンプとしての動作を継続できるような仕組みになっていますが、通常動作と校正時とでは内部で何らかの切り替えが行われておりノイズが発生します。原理的に特殊な上、メーカーや開発時期により様々なものが存在するので使い方はデーターシートやアプリケーションノートで充分に確認する必要があります。

OPA333 TI http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=OPA333
AD8554 AD http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=AD8554
AD8572 AD http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=AD8572
AD8551 AD http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=AD8551
LTC1150 LT http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LTC1150
ICL7650 MAXIM http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=ICL7650

▼ ゼロドリフトアンプについては、マルツオンラインの技術情報「ゼロドリフト・アンプとは」にて、使用上の注意点や製品紹介、折り返し雑音の観測と対策、サンプリングクロックの漏れ対策を詳しくご案内いたしております。 /contents/shop/marutsu/mame/200.html

2.低入力電流オペアンプ

nAオーダー以下の微小な信号電流を扱うことを目的に入力電流を小さく抑えたオペアンプです。一般に入手できるものはJ-FET入力型オペアンプかMOS-FET型オペアンプのどちらかです。ただし、J-FET型またはMOS-FET型であっても品種により実力は異なります。
pA以下の微小電流を扱う場合はオペアンプの出力も微小となるため同時に高精度オペアンプの要件も必要です。
J-FET入力型またはMOS-FET型のオペアンプは入力電流(入力バイアス電流)の小さいものがほとんどですが特性全体や再現性を考慮すると微小電流用と言えるものは限られます。特にfAオーダーの入力電流では特性の管理が重要になるため非常に高価な製品もあります。

OPA128  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=OPA128
AD549   http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=AD549
LMC6001 http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LMC6001
LMP7721 http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LMP7721

3.ローノイズオペアンプ

文字通りノイズの少ないオペアンプです。入力換算雑音電圧VNIがおよそ5nV/√Hz以下の製品が該当します。VNI=10nV/√Hzクラスの製品も多く存在しますが汎用と言われる用途ではそれでも充分ローノイズです。
 入力換算雑音電圧VNIが小さいことが要件ですが入力換算雑音電流INIが小さいことも重要です。バイポーラトランジスタ入力のオペアンプはINIが大きいことが多いので注意します。信号源抵抗RGが小さい場合は問題になり難いですが、信号源抵抗RGが大きい場合、
RG×INIが入力換算雑音電圧VNIに加算されます。この様な場合、バイポーラトランジスタ入力のオペアンプでVNIが小さいものを選ぶよりも、VNIが多少大きくてもINIが小さいFET入力型の方が総合的にローノイズということもあります。
 広帯域オペアンプはローノイズなことが多いのですが、ホワイトノイズの電力が周波数帯域に比例するため広帯域でノイズに埋もれずに信号を増幅するには必要な特性です。ただし、高周波の増幅を目的としたオペアンプでは規格上のVNIは小さくても低周波での1/f雑音が大きいことが良くあります。
 低周波のローノイズオペアンプはひずみなど他の低周波特性も良いものが多く交流信号版の高精度オペアンプとして計測器などに向いています。低周波用ローノイズオペアンプの主要な用途の一つはオーディオ用ですが、オーディオ用として評価の高いものにももとは工業用の高性能オペアンプとして開発されたものが多数あります。

OPA211  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=OPA211
AD8599  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=AD8599
LT1028  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LT1028
AD797   http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=AD797

4.高速・広帯域オペアンプ

4.1.高速オペアンプ

SR(スルーレート)が大きい品種です。明確な定義はありませんがSR=20V/μs前後より大きいものが該当します。SRは入力電圧として微小なステップ波形を与えたときに出力電圧が上昇する割合です。ロジック回路と異なりLOW/HIGHのデジタル信号を増幅するような使い方はしませんが、正弦波とその合成波であるアナログ波形を増幅する場合に最大周波数と出力振幅を決めます。高い周波数で大きな出力振幅を得るためにはSRが大きい必要があります。例えば、汎用オペアンプでSR=1V/μsのNJM4558は電源電圧±15Vで20kHzの正弦波を最大振幅で出力するとSRが足りずにひずみます。後発のNJM4559やNJM4560ではSRが大きくなっています。
広帯域オペアンプと混同されますが用途によっては比較的小さい周波数でも大きいSRが必要になります。PCMの復調直後(D/A変換後)の信号にはPCMのキャリア成分が残っている場合が多く、信号周波数は低くてもキャリア成分をリニアに扱うことのできる周波数帯域と高速性を備えていないと不都合なことがあります。また、外部からの信号を入力する場合、一度どこかでSRを抑えてしまえば以降は心配ありませんが、外部と直接つながる初段では以降の回路のSRを超える変化の速い信号が入力される恐れがあります。この様な場合はC,L,Rのみを使ったフィルターで信号処理しますがオペアンプに直接入力がつながる場合は速い電圧変化に対応できるものでなければなりません。

4.2.広帯域オペアンプ(高周波用オペアンプ)

高い周波数まで増幅可能なオペアンプです。高速オペアンプ同様明確な定義はありませんが50MHz前後のft(トランジション周波数=電圧利得1となる周波数)が広帯域と呼ばれるか否かの境目です。4558など汎用オペアンプの定番が開発された当初は数MHz以上の高周波を増幅できるオペアンプはほとんどありませんでしたが現在ではごく一般的に存在します。
ほとんどは広帯域オペアンプ=高速オペアンプですが、信号の電圧振幅が小さい場合、ftが高ければSRは小さくても使用できることもあります。
高周波アンプは低周波、特に直流の増幅はあまり重要でない場合が多く、低周波での特性は汎用オペアンプの方が勝る場合があります。一概に周波数帯域が広い方が高性能ではありません。

4.3.電流帰還型オペアンプ

通常のオペアンプ(電圧帰還型)では反転入力での電圧の加算値がゼロになるように負帰還が働きますが、電流の加算値がゼロになるような等価回路を持つオペアンプが電流帰還型です。使用上の制約は多いですが反転・非反転の増幅回路を構成する場合の基本構成は電圧帰還型とほぼ同じです。周波数帯域を保ったまま安定な負帰還を掛けることができるため広帯域オペアンプに多く採用されています。

AD8011  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=AD8011
AD812   http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=AD812

5.耐容量性負荷オペアンプ

高い周波数まで増幅可能なオペアンプです。高速オペアンプ同様明確な定義はありませんが50MHz前後のft(トランジション周波数=電圧利得1となる周波数)が広帯域と呼ばれるか否かの境目です。4558など汎用オペアンプの定番が開発された当初は数MHz以上の高周波を増幅できるオペアンプはほとんどありませんでしたが現在ではごく一般的に存在します。
ほとんどは広帯域オペアンプ=高速オペアンプですが、信号の電圧振幅が小さい場合、ftが高ければSRは小さくても使用できることもあります。
高周波アンプは低周波、特に直流の増幅はあまり重要でない場合が多く、低周波での特性は汎用オペアンプの方が勝る場合があります。

LM8261  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LM8261
LM8272  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LM8272
LM732   http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LM7321
LT1364  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LT1364
LT1354  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LT1354
LT1361  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LT13616

6.高出力電流型オペアンプ、パワーオペアンプ

大電流の出力ができるように設計されたオペアンプです。パワーアンプとして使えるものもあります。通常型のオペアンプは積極的に大きな出力電流を流すようにできていません。(パワーアンプとしては設計されていません。)

LM675T TI  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LM675T
LM12CLK TI   http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=LM12CLK
OPA544 TI  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=OPA544
OPA547 TI  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=OPA547
OPA541 TI  http://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=&q=OPA541