今回は、ルネサスエレクトロニクス社が販売するArm Cortex-M23コアを採用したエントリー用の低価格な「RAファミリRA2E1マイコン」をご紹介します。
ルネサス社は現在のマイコン開発において、オリジナルコアを採用したRXファミリと共にArmコアを採用したRAファミリに注力しています。RAファミリには、低価格なRA2シリーズからRA4シリーズ、RA6シリーズ、最上位のRA8シリーズまで大きく4つのシリーズがあり、搭載されているArmコアやメモリ容量、周辺機能の違いなどで区別されています。
RA2シリーズは、最大48MHzで動作するArm Cortex-M23コアを搭載し、低価格で低消費電力を特長としています。最近はIoTの急速な普及などにより、開発コストと消費電力を抑えてより多くの機能と高い性能を発揮するマイコンが求められるようになっていますが、そのような用途に最適なマイコンです。
RA2シリーズにはRA2A1グループとRA2L1グループがありましたが、今回追加されたRA2E1グループは、より低価格でエントリー向けに最適化されたマイコンです。グループと呼んでいるのは、ウェハが同じでもパッケージによってサイズのみではなくピン数や周辺機能が変わってくるためです。
RA2E1グループは、他のグループと比べてメモリ容量が少なくなっており、CANインターフェースやD/Aコンバータが省かれています。その代わり、LQFP、QFN、LGA、BGA、WLCSP(Wafer Level Chip Scale Package)などの幅広いパッケージをラインナップしています。WLCSPは、ウェハとピンの接続にボンディングワイヤを使用せず、ほぼウェハと同じサイズという超小型のパッケージです。
< RA2E1マイコン >
RA2E1マイコンの「R7FA2E1A92DFM#AA0」は、コード用128KBとデータ用4KBのフラッシュメモリ、16KBのSRAMを搭載しています。パッケージはLQFPの64ピンです。1.6V~5.5Vの広い電圧範囲で動作し、12ビットA/Dコンバータ、静電容量式タッチ検出、SCI/SPI/I2Cの通信インターフェース、セキュリティ機能などを搭載しています。
低消費電力を実現する動作モードとして、周辺機能は動作したままCPUを停止させるSleep mode、パワーオンリセット以外を停止させるSoftware Standby mode、A/D変換やシリアル通信をスタンバイ状態にしてCPUを停止させるSnooze modeなどが設けられています。
RA2E1マイコンの評価用として、EK-RA2E1評価キットが用意されています。MCUのネイティブピンに直接アクセスでき、ルネサス社独自のFlexible Software Package(FSP)とIDEを使用して、組み込みシステムアプリケーションを開発することができます。FSPは、Arm Cortex-Mコアを採用したRAファミリ用のオープンソースのソフトウェアパッケージです。
< EK-RA2E1評価キット >
RAファミリRA2E1マイコン(64ピン) 【R7FA2E1A92DFM#AA0】 210円 |
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Evaluation Kit for RA2E1(EK-RA2E1評価キット) 【RTK7EKA2E1S00001BE】 10,000円 |
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