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今回は、USB PDに対応したユニバーサル充電器の設計を簡素化するTI社のバックブーストバッテリー充電器について解説した記事をご紹介します。
■統合型バックブースト充電器によるUSB充電の高速化とユニバーサルソリューションの小型化
現在、スマートフォンやタブレット、コードレス掃除機、ドローン、ポータブル医療機器、ワイヤレススピーカなどに使用されるユニバーサル充電器の需要が急増しています。これらは小型で充電時間が短く、低価格であることが求められています。
ユニバーサル充電器はUSB PD(Power Delivery)に対応した充電器で、パソコンなどのUSBポートからリチウムイオン電池やリチウムポリマー電池の充電ができます。また、OTG(On-The-Go)による給電も可能です。OTGは、パソコンを介さずにUSB機器どうしを直接接続するインターフェース規格です。
USB PDはUSBで電力を供給するための規格で、USB3.0とUSB Type-Cをベースにしています。最新の仕様は2016年に発表されたUSB PD3.0です。USB3.0でも4.5W(5V/900mA)の電力供給が可能ですが、USB PDでは5V/9V/15V/20Vの4種類の電圧で、最大100Wまでの電力供給が可能です。100Wの電力供給には、USB Type-Cで追加された4本のVBUSピンを使用します。
USB PD充電器は、様々なバッテリセルやアダプタ電圧に対応しなければならないため複雑な構成になります。また、コンセントが抜かれて電力供給が止まってもデータ転送が中断されないように、高速ロールスワップ(FRS)仕様が決められていて、これを遵守する必要があります。
そこで、Texas Instruments社が開発したバックブーストバッテリー充電器BQ25792を使用すると、FRSのサポートを含むUSB PD充電器の設計を大幅に簡素化することができます。
BQ25792は、1~4セルのリチウムイオン電池とリチウムポリマー電池用のスイッチング方式による昇降圧充電器です。入力電圧範囲は3.6V~24Vで、USB BC1.2、標準ダウンストリームポート(SDP)、充電ダウンストリームポート(CDP)、充電専用ポート(DCP)、高電圧充電専用ポート(HVDCP)、非標準のアダプタなどを検出することができます。さらに、OTG充電にも対応しており、アダプタからの入力がなくなってVBUSが閾値レベルを下回ると、充電モードからOTGモードに素早く切り替わります。
【アプリケーションラボ】では、ユニバーサル充電器のしくみとFRSやOTGの概要を説明したあと、BQ25792を使った回路設計について解説しています。また、BQ25792の評価用ボードとしてBQ25792EVMが用意されており、このボードは1~4個のセルに対して、10mAの分解能で最大5Aの充電電流を供給することができます。I2Cで制御し、デュアル入力セレクター付きです。
ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
5Aバックブーストバッテリー充電器 【BQ25792RQMR】 ¥996.06(税込¥1,095.66) |
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BQ25792評価モジュール 【BQ25792EVM】 ¥22,891.31(税込¥25,180.44) |
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下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。
■デジタルポテンショメータの基礎知識と使用方法
デジタルポテンショメータは機械式ポテンショメータよりも正確な制御と高い信頼性を持ち、ソフトウェアで値を調整できるという特長を持っています。ここでは、デジタルポテンショメータの効果的な使用法について解説します。
■超音波センサの概要
低コストで調整も簡単にできるため、超音波センサは古くから様々な用途に使用されています。ここでは、超音波センサの動作原理やメリットとデメリット、代表的な用途などについて解説します。
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