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今回は、大容量バッテリーを積んだスマートフォンなどの急速充電を可能にするON Semiconductor社の充電コントローラについて解説した記事をご紹介します。
■USB-C充電コントローラを使いファームウェアなしで急速充電を迅速に実装
最近のスマートフォンはディスプレイが大きくなり、さらに5Gへの対応も要求されているためバッテリーの容量も大きくなっていますが、充電時間は短くすることが求められています。そのような場合、USB Type-C Power Delivery3.0のプログラマブルパワー電源(PPS)機能を使用すると、大型バッテリーの急速充電を可能にすることができます。
USB Power Delivery(USB PD)は、2012年に公開されたUSBケーブルを使って電力を送るための規格です。2014年にUSB3.1が発表されたときに、USB PD2.0とUSB Type-Cの仕様が同時に公開され、USB Type-Cを使用して100Wまで電力を供給できるようになりました。2016年に公開されたUSB PD3.0では、プログラマブルパワー電源という機能が追加され、充電電圧を可変にすることで充電時の余分な発熱を減らして電力効率を上げられるようになりました。
バッテリーに急速充電するには供給電力を大きくすればよいのですが、USB Type-Cでは5Aが最大許容電流です。したがって、チャージポンプ回路などを利用して電圧を上げるしか方法がありません。USB PD2.0では、5V/9V/15V/20Vと3A/5Aを組み合わせて使用する固定パワーデリバリオブジェクト(PDO)が定義されていました。しかしこれでは、充電効率のよい最適なポイントを維持することが難しくなります。USB PD3.0ではこれが改善されて、20mVステップで3.3V~21V、50mAステップで5Aまで電圧と電流を可変することが可能になりました。これにより、ソースとシンク間の充電効率を最適化することができます。
 < FUSB3307の内部ブロック >
【アプリケーションラボ】では、急速充電アダプタに求められる課題とUSB PD3.0 PPSの仕組みについて解説した後、ON Semiconductor社の急速充電コントローラFUSB3307を紹介しています。FUSB3307は、USB PD3.0v1.2とUSB Type-C1.4に準拠したファームウェアを搭載しており、AC/DCとDC/DC充電器の両方に対応しています。FUSB3307は、マイコンなどのコントローラを必要とせずに、少数の部品だけでUSB PD3.0互換の電源を実装することができます。
また、FUSB3307の評価用ボードとして、FUSB3307MX-PPS-GEVBが用意されています。このボードは、DC4.5V~32Vを入力し、5V~20Vの充電電圧を出力します。PPSを含むPD2.0とPD3.0の両方の仕様に対応しています。
ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
USB PD3.0充電コントローラ 【FUSB3307D6MX】 ¥265.72(税込¥292.29) |
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FUSB3307評価ボード 【FUSB3307MX-PPS-GEVB】 ¥17,264.45(税込¥18,990.89) |
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下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。
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