「アプリケーションラボ」は、Digi-Key社のご協力をいただいて、Digi-Key社が公開している新製品や技術情報を日本語でご紹介するWebページです。基礎技術から最新技術まで有益な情報を公開していますので、是非ご活用ください。
今回は、離れた場所にあるセンサからIoT機器にデータを送るのに便利な1-Wireというバス規格を活用する方法について解説した記事をご紹介します。
■1-Wire通信を使ってIoTエンドポイントのセンサに効率的に接続する方法
現在では、IoT機器を使ってデータ収集を行うことが当たり前になってきました。IoT機器では、一般的にセンサとマイコンの間はI2CやSPIを使って接続されますが、I2CやSPIの規格では1m以上離して接続することができません。離れた場所にあるセンサとの間で配線が複雑にならずに接続するには、1-Wireというバス規格を使用することができます。
1-Wireは、Maxim Integrated社が商標を持つバス規格です。グラウンド線と電力の供給も兼ねた信号線の2本の線だけで、データと電力を100m先まで伝送することができます。I2Cと似ていますが、I2Cよりも転送レートが低い代わりに、長距離の通信が可能です。
SPIやI2Cでは専用のクロック信号を使用しますが、1-Wireではクロックはデータ信号に埋め込まれています。複数のセンサを接続する場合、識別するためにSPIは各デバイスごとに専用にセレクト信号を使用します。また、I2Cの場合はデータ線で7ビットのバスアドレスを送信します。1-Wireの場合は、個々のデバイスに64ビットの識別番号を割り振ることで、他のデバイスに影響を与えることなく個別にアクセスすることができます。
 1-Wire通信の構成
【アプリケーションラボ】では、現在のIoT機器におけるマイコンとセンサの接続方法について解説した後、1-WireのしくみやMaxim社の1-Wire to I2CブリッジデバイスDS28E18の概要および使い方を詳しく説明しています。
DS28E18は、1-WireとI2C/SPIの間を橋渡しするブリッジICです。ホストとなるマイコンの1本のGPIOに最大20個接続することができます。DS28E18は512バイトのコマンドシーケンサを搭載し、複数のI2C命令とSPI命令をロードすることができます。
命令がロードされると、ホストマイコンはDS28E18に命令を送ることができシーケンスを実行します。その後、DS28E18はI2CノードやSPIノードからデータを収集し、データを読み取ります。各ノードには、DS28E18から電源を供給します。
DS28E18をI2Cデバイスのブリッジとして使用する場合、標準モード(100kHz)、高速モード(400kHz)、高速モードプラス(1MHz)で通信できます。
I2CやSPIの設定は、1-Wireコマンドを使用して実行します。電源を投入したときはI2Cに設定されているので、SPIにはコマンドで変更します。SPIモードでは、最大2.3MHzの複数のクロックレートがサポートされています。
 DS28E18EVKIT#評価ボード
なお、DS28E18の評価用として、開発ボードとソフトウェアで構成されたDS28E18EVKIT#評価キットが用意されています。
ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
コマンドシーケンサ付き1-Wire to I2Cブリッジ) 【DS28E18Q+T】¥227.15(税込¥249.86) |
 |
DS28E18EVKIT#評価キット 【DS28E18EVKIT#】¥14,061.12(税込¥15,467.23) |
 |
|
下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。
■AWSクラウドで管理されるIoTエンドポイントを素早く作成する方法 IoT機器はクラウドに接続してデータを収集し解析する必要がありますが、慣れていない設計者にとっては敷居が高いものです。ここでは、Microchip社のAWS対応IoT Wi-Fi開発ボードEV15R70Aを使用して、素早くAWSのクラウドサービスに接続する方法について解説します。
■モジュール式小型DC/DCコンバータを使って電源レールノイズを最小限に抑える方法 電子回路の設計において、電源レールのノイズは高感度のアナログやデジタル回路に影響する可能性があります。よって、電源レールのノイズは最小限に抑える必要があります。ここでは、Monolithic Power Systems社のモジュール式小型DC/DCコンバータを使用して電源レールのノイズを最小限に抑える方法を解説します。
|
|