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商用電源を利用する電子機器は常に落雷や電力線サージなどによる故障の危険に曝されています。今回は、その対策として使用される面実装タイプのTVSダイオードについて解説した記事をご紹介します。
■最少限のはんだ付けで高電力バスの保護を最適化
電子機器が故障する原因の多くは、電力線の過渡現象やモータによるアーク放電、落雷、静電気放電(ESD)などで発生する過剰電圧によるものです。その対策として、TVS(Transient Voltage Suppressors)ダイオードや金属酸化物バリスタ(MOV：Metal Oxide Varistor)が使用されます。
TVSダイオードは、ツェナーダイオードと同様にダイオードの逆方向特性を利用しています。ツェナーダイオードは定電圧を得るために用いるのでON状態で使用されますが、TVSダイオードは通常はOFF状態で過電圧が印加された際にON状態になります。これによりバイパスを構成し、想定外の過電圧やサージから後段の電子回路を保護します。
TVSダイオードでは、ON状態になるブレイクダウン電圧、ブレイクダウンを起こさずに動作できる最大電圧を示すスタンドオフ電圧、最大サージ電流を示すピークパルス電流などが規定されています。
また、通常のTVSダイオードよりも電圧クランプ機能を強化したパワーTVSダイオードは、高いピークパルス電流を持ち、長時間のサージに対応できます。そのため、雷サージやモータのアーク放電など、より大きなエネルギーを伴う過渡現象から回路を保護することができます。
MOVは酸化亜鉛を主原料とする金属酸化物で構成されており、通常は高抵抗ですが、過電圧が発生すると抵抗が急激に低下しバイパスを構成します。応答速度は比較的遅いですが、TVSダイオードよりも大きなエネルギーを処理できるため、電源ラインの保護に広く使用されています。
【アプリケーションラボ】では、落雷やESDなどによる過剰電圧から保護するために使用するTVSダイオードを規定する用語や機能について解説した後、Bourns社製のPTVSシリーズ面実装双方向パワーTVSダイオードとonsemi社製のESD9Bシリーズ面実装TVSダイオードを紹介しています。
面実装型はスルーホール型よりもはんだ付け工程が少なくて済み、高密度実装が可能です。PTVSシリーズの双方向パワーTVSダイオードは、スタンドオフ電圧が22Vから86Vまでラインナップが揃っています。IEC61000-4-5の8/20μsサージ電流要件を満たしており、幅広い温度範囲で優れた性能を発揮します。
ESD9BシリーズのESD保護用TVSダイオードは、電圧に敏感な電子部品をESDや過渡電圧から保護するために設計されています。双方向タイプでAC/DCどちらの回路にも使用でき、小型で高速応答なのでポータブルデバイスや高感度電子部品の保護に適しています。
ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
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