「アプリケーションラボ」は、DigiKey社のご協力をいただいて、DigiKey社が公開している新製品や技術情報を日本語でご紹介するWebページです。基礎技術から最新技術まで有益な情報を公開していますので、是非ご活用ください。 今回は、伝導冷却方式を採用してファンを使用せずに定格100%を出力できるTRACO Power社のスイッチング電源について解説した記事をご紹介します。 ■ハイブリッド伝導および対流冷却スイッチング電源 電子機器の心臓といえる電源には、多くの場合スイッチング電源が使用されています。現在のスイッチング電源は、ほとんどの製品で効率が90%を越えていますが、それでも10%近くの電力が熱として放出されています。そのため放熱対策は不可欠であり、一般的にはファンを使った強制空冷方式が採用されています。 しかし、産業機器や医療機器、特殊な電気通信機器では筐体が密閉されていたり、粉塵や湿気の多い環境のため、ファンを使用できない場合があります。そこで、伝導冷却(conduction-cooled)方式のスイッチング電源を採用すると、ファンレスを実現することができます。伝導冷却方式は、発生した熱を金属ベースプレートなどを介して筐体やヒートシンクに直接伝えることで放熱する冷却方式です。 TRACO Power社のTCIシリーズは、対流冷却と伝導冷却の両方をサポートするハイブリッドケースを採用することで、ファンレス状態でも定格出力100%を発揮できるように設計されたスイッチング電源です。TRACO Power社は、1944年に設立されたスイスに本社を置く高信頼性電源ソリューションの専業メーカーです。 TCIシリーズには、出力電力が130W~500Wで、出力電圧が12V、24V、48Vのラインナップが用意されています。TCI130/TCI240は金属製エンクロージャを採用し、ベースプレート取り付け時に100%出力をファンレスで供給できます。また、TCI500UはUチャンネル金具付きパッケージを採用し、ファンレス時に最大90%効率で定格出力を供給できます。 動作温度範囲は、ディレーティングなしで-30℃~+50℃、負荷ディレーティングまたは強制冷却を行って最大+80℃です。ディレーティングとは定格値より低い条件で運用することです。 【アプリケーションラボ】では、ファンレスのスイッチング電源が必要とされる理由と様々な冷却方式について解説した後、TRACO Power社のTCIシリーズのスイッチング電源を紹介しています。 ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
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