「アプリケーションラボ」は、Digi-Key社のご協力をいただいて、Digi-Key社が公開している新製品や技術情報を日本語でご紹介するWebページです。基礎技術から最新技術まで有益な情報を公開していますので、是非ご活用ください。
今回は、産業用ネットワークの絶縁対策としてアナログ・デバイセズ社のデジタルアイソレータを活用する方法について解説した記事をご紹介します。
■統合型デジタルアイソレータを使用した産業用通信ネットワークの保護
産業用途のネットワークではProfibusやInterbus、Modbusといったプロトコルが使用されますが、これらの通信には一般にRS-422/RS-485インターフェースが採用されています。RS-422/RS-485はノイズなどに対して堅牢なインターフェースですが、産業環境ではより大きな電圧スパイクにさらされることが多いので、絶縁が要求される場合も増えています。
絶縁対策としては、従来からトランスやフォトカプラが使用されていますが、トランスは高価で大きく効率も悪いという欠点があり、フォトカプラはLEDが故障しやすく伝搬遅延によりスループットを制限されるという問題がありました。さらに、どちらも電源と信号の絶縁を別々に用意する必要があります。
アナログ・デバイセズ社のADM2682E/ADM2687Eは、絶縁型DC/DCレギュレータと3チャンネル信号アイソレータの両方を1つのチップにしたRS-422/RS-485トランシーバで、電源と信号の絶縁を別々に用意する必要がありません。データレートは、ADM2682Eが最大16Mbps、ADM2687Eは最大500kbpsです。どちらも25kV/μs以上のコモンモード過渡電圧耐性と±15kVのESD保護機能を備えています。
 < ADM2682E/ADM2687Eの内部ブロック図 >
【アプリケーションラボ】では、電源と信号の絶縁に対する従来のアプローチについて解説した後、デジタルアイソレータを使用するメリットについて詳しく解説しています。ADM2682E/ADM2687Eは、アナログ・デバイセズ社のiCouplerとisoPowerという絶縁技術を採用しています。iCouplerはウェハ表面に平面構造のトランスを形成する技術です。下部トランスコイルと上部トランスコイルは高絶縁ポリイミド層で絶縁されているので、送信チャンネルと受信チャンネルを同一のパッケージに集積することができます。
iCouplerはウェハ上にマイクロトランスを作る技術なので、これを利用すれば絶縁型のDC/DCコンバータを同じウェハ上に作成することができます。これがisoPowerです。
 < ADM2682E評価ボード >
また、電源や信号の接続に便利なネジ式端子ブロックを採用したADM2682E/ADM2687Eを評価するためのボードEVAL-ADM2682EEBZ/EVAL-ADM2687EEBZが用意されています。
ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。
RS-422/RS-485トランシーバ(16Mbps) 【ADM2682EBRIZ】 ¥2,240(税込¥2,464) |
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RS-422/RS-485トランシーバ(500kbps) 【ADM2687EBRIZ】 ¥1,946.67(税込¥2,141.33) |
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ADM2682E評価ボード 【EVAL-ADM2682EEBZ】 ¥11,074.45(税込¥12,181.89) |
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ADM2687E評価ボード 【EVAL-ADM2687EEBZ】 ¥9,227.78(税込¥10,150.55) |
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下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。
■医療機器において感電を防ぐためのAC絶縁型トランスの使用方法
医療用の電子機器が増えていますが、安全対策が十分であるかどうかが重要になります。ここでは、電子機器において感電が発生するメカニズムについて解説し、商用ラインを電源とする医療機器においてトランスを使用して安全対策を行う方法について解説します。
■レーザースキャナアプリケーションの比較
レーザーは、コヒーレント光の1本以上のビームを放出する電子機器です。ここでは、データ伝送や材料加工といった様々な用途で使用されているレーザースキャニングを活用したアプリケーションについて解説します。
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