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第5世代移動通信システム(5G)には「ローカル5G」というサービスが用意されていて、ユーザーが独自に免許を申請し、決められた周波数を用いて5Gを実現することができます。ローカル5Gで使用できる周波数は、ミリ波帯の28.2GHz~28.3GHzと、Sub6に属する4.6GHz~4.9GHzです。 ローカル5Gを利用するメリットは、自前で5G通信環境を構築するため、自由度が非常に大きいということです。独自の通信環境を構築できるだけでなく、様々な実験や開発などを制約なく行うことができます。ただし、ローカル5Gの基地局を構築するには高額な費用がかかり、中小企業などではまず実現することができません。 株式会社アイダックスは、公共機関と共同研究を行うことで中小企業でも利用できる低価格なローカル5G基地局の実現を目指しています。独自に開発したローカル5G基地局実験キットとオープンソースソフトウェア(OSS)を活用することで低価格を実現します。アイダックスは、高速A/D&D/A、FPGAボードをベースとしたデータ収集装置の開発・販売を中心に行っている企業です。 「ローカル5G基地局実験キット」は現在開発中であり、その開発過程を4回に分けて連載として公開します。第1回目は「ローカル5G基地局実験キット」の概要について、第2回では「ハードウェア」について、第3回目は「ソフトウェア」について紹介しました。第4回目となる今回は最終回で、「ローカル5G基地局実験キットの工事認証(技適)の試験」について解説します。
不合格となった原因のスプリアス
ローカル5G基地局実験キットが一応完成したので、工事認証(技適)の試験を受けることにしました。そして、6月8日に、電気安全環境研究所(JET)にて、ローカル5G基地局実験キットの工事認証(技適)の試験を行いました。結果は、残念ながら不合格でした。ただし、問題となったのは上図に示すように30MHzのスプリアスが規定値から3dB程超えてしまったという1点だけでした。 そこで、RF部の設計元であるラジアン社と対策を検討しました。最終回となる連載第4回では、スプリアスが発生する原因とその対策について解説しています。対策した後は良好な結果を得られたので、次回の試験では合格するものと思います。 本連載では、アイダックスが開発を進めている「ローカル5G基地局実験キット」について概要を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。ご意見やご感想、ご質問をお待ちしています。
[第4回(最終回)] ローカル5G基地局実験キットの工事認証(技適)の試験
〈株式会社アイダックス 代表 戸部英彦〉
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