~コンピュータに実装する数学の基礎Ⅱ フーリエ変換からディジタル・フィルタまで~
・著者・講師: 別府 伸耕 (リニア・テック)
・企画・制作: ZEPエンジニアリング
・本製品は,1人当たり1ライセンスです
・ご注意:本製品には組立キット“PicoStackSDR”は付属しておりません.キットをご希望のかたは,こちらの製品をお求めください.
【関連製品】
[講義ビデオ付き組立キット]初めてのソフトウェア無線&信号処理プログラミング 基礎編/応用編
[講義ビデオ376分,講義テキスト211頁]初めてのソフトウェア無線&信号処理プログラミング 基礎編
 |  |  |
「基礎編」と「応用編」でカバーする範囲(基礎編はこちらを参照) | 「フィルタ設計」と「微分・積分」のかかわり | 波形と周波数スペクトラムとフーリエ変換 |
■本製品のあらまし
本製品は,セミナ「初めてのソフトウェア無線&信号処理プログラミング【応用編】」(2022年2月27日開催)の講義ビデオ(ストリーミング再生)と講義テキスト(PDF)のオンライン教材です.
同梱の説明書に,講義ビデオ,講義テキスト類のダウンロードが可能になるパスワードが記載されています.
なお,本製品のすべての映像,画像,文書テキスト,ソースコードは,著作権法によって厳格に守られています.無許可の転載,複製,転用は法律により罰せられます.
 |  |
本動画セミナで解説する理論の階層構造(1~6層の解説は基礎編,7層の解説は応用編) | 連続信号と離散信号 |
■講義ビデオの内容
姉妹製品の[基礎編]で扱った各種初等関数,微分・積分,複素平面,オイラーの公式などの理解を前提として,実際のディジタル信号処理システムの設計に必要な「フーリエ変換」,「離散フーリエ変換」,「z変換」,「サンプリング定理」,「ディジタル・フィルタ設計」を解説します.最終的にSDRキット“Pico Stack SDR”で実際に使用している信号処理のソース・コードを理解することを目指します.
・電気回路,機械設計,情報工学,あらゆるエンジニアリングには「フーリエ解析」が必須です!
・本セミナ(応用編)では,「フーリエ解析」の本質を最高にわかりやすく解説します!
・フーリエ解析の応用として「微分方程式を解く」,「ディジタル・フィルタを設計する」などの具体例も扱います!
 |  |
“Pico Stack SDR”のシステム・ブロック図 | 「フィルタ設計」と「微分・積分」のかかわり |
[基礎編]では,ディジタル回路技術,アナログ回路技術,そしてコンピュータ上の信号処理技術の集大成である“SDR”(Software Defined Radio)を題材として,電気・電子技術全般の構造を学びます.
「ディジタル信号処理」に必要な数学を高校数学から始めて一気通貫で解説します.「初等関数」(三角関数,指数関数,対数関数),「微分・積分」,「複素平面」,「オイラーの公式」,「フーリエ解析の基礎」などを扱います.これらの基本的な内容を徹底的に理解すれば,ディジタル信号処理にとどまらず回路設計や制御工学,統計解析,その他のあらゆるエンジニアリング手法を身に着ける際に大いに役立ちます.
・電子工学の集大成である“SDR”(ソフトウェア無線機)を題材にして,「エンジニアにはどんな理論が必要なの?」という疑問に答えます!
・「設計」に必須のテクニックである「微分」と「積分」の意味や使い方を演習形式で徹底的に解説します!
・ゴールである「オイラーの公式」を理解すれば,幅広い分野への応用が開けます!
■本製品を購入された方へ「講義ビデオと講義テキストのリンク先」
下記リンク先(青字)をクリックして,本製品ご購入後,メールにてお知らせいたしましたパスワードを入力ください.
講義ビデオ(著作権保護のためパスワードがかけられています)
・0:00:00 イントロダクション
応用編では「微分方程式を解く」.目標は「線形システム」の挙動を「フーリエ解析」という道具によって理解すること.離散時間システムの話のゴールとして「ディジタル・フィルタ」を説明.
・0:13:53 「正弦波」が特別扱いされる理由
電子回路の主役は「乗算回路」と「フィルタ」だった.正弦波に対するこれらの挙動の復習から始める.「線形システムは正弦波と相性が良く,正弦波を使えば微分方程式から微分が消える」→LCR回路の例.「様々な波形は正弦波の重ね合わせ作れる」→矩形波の例.
・0:50:55 関数の内積と三角関数の直交性
フーリエ解析で「内積」は超重要.「辺の長さ」ではなく「成分計算」で表すことで「関数の内積」につなげる.関数は「無限次元のベクトル」でその「内積」は「共通成分の大きさ」を表す.
・1:29:02 実フーリエ級数(周期2π)
あらゆる3次元ベクトルを表す素である「基底」の考え方を導入する.cos や sin は「関数の基底」になっているというイメージ.「フーリエ級数」は様々な周波数成分を「ブレンド」している.「フーリエ係数」の抽出は「関数の内積」そのもの.「収束定理」は参考文献を参照.
・1:54:50 実フーリエ級数(周期2T)
π/Tという係数を入れることで「周期2T」にスケール変更する.規格化の定数がTになることを確認する.ここでも「三角関数の加法定理」と「三角関数の微分・積分」を大いに利用する.
・2:04:30 複素フーリエ級数
cosとsinを ejωt で置き換えて,都合が良いように「複素フーリエ係数」を定義する.
・0:00:00 フーリエ変換
非周期関数,孤立波形にも対応できるように「周期を∞」にしたものがフーリエ変換.「フーリエ積分公式」の導出が重要.「リーマン和」と見なして積分計算に持ち込むところを丁寧に説明する.積分変数が x なのか ω なのかを明確に意識することが重要.
・0:21:10 フーリエ変換の性質
「時間領域シフト」の本質は「位相の遅れ」,「周波数領域シフト」の本質は周波数ω0の正弦波との「ミキシング」.f(t)が「実数」ならスペクトルは「左右対称」.畳み込みの本質は「ずらして全部足す」だが詳しい話は後出の「線形システム」で説明.
・1:04:16 ラプラス変換
ラプラス変換は「無理やり 絶対可積分 に加工した関数 f(t)・e?σtをフーリエ変換する手法」.ラプラス変換を加えることで,フーリエ解析は「実用的」になる.フーリエ解析は「波形を正弦波に分解・統合して微分方程式を解くテクニック」.ラプラスの論文は1812年,フーリエの論文は1822年,コーシーは1800年代前半の人,ヘヴィサイドの論文は1899年,ブロムウィッチは1900年ころの人.
・1:55:30 デルタ関数の導入
デルタ関数は線形システムの解析に不可欠! デルタ関数の本質は「t=0の値を取り出す」こと.グラフの形はあくまでイメージ.δ(ct)の話は「偶関数」を証明したい.デルタ関数によって「フーリエ係数/級数」が「フーリエ変換/逆変換」の一部になった.
・0:00:00 線形時不変システム
デルタ関数の導入が重要.「正弦波入力とインパルス応答h(t)との畳み込み積分」を計算すると,勝手に「伝達関数 x 正弦波」という形が出てくる!「線形性」と「時不変性」を仮定するだけで,「正弦波は線形システムの固有ベクトルである」という最重要項目を示せる!「だったら線形システムを扱うときは入力信号を正弦波に分解するとわかりやすいじゃん!」ということでフーリエ解析が使われるようになった.
・0:41:16 離散時間信号とサンプリング定理
それまでのデルタ関数の性質やフーリエ変換の性質を総動員する.「サンプリング定理」によって,「離散時間信号の情報量は元の連続時間信号と等価」だと示される!(エイリアシングがなければ)
・1:30:16 差分方程式とz変換
z変換は「ラプラス変換を離散化したもの」.差分方程式をただの方程式に変換できる.z変換から周波数特性を求めるときは z=ejωnT を代入する.サンプリング間隔 T なら,nステップ後の時刻は nT だから.
・1:50:23 ディジタル・フィルタ設計7基礎
ディジタル・フィルタの挙動は「入力信号とインパルス応答(タップ係数)の畳み込み和」そのもの!
・2:10:33 信号のデシメーションとCICフィルタ
SDRをはじめとした一般的なディジタル・サンプリング・システムでよく使われるCIC(Cascaded Integrator Comb)フィルタの解説.一般的な「マルチレート信号処理」についても簡単に触れる.
講義テキスト(著作権保護のためパスワードがかけられています)
・初めてのソフトウェア無線&信号処理プログラミング(2応用編)_Part1_20220227(全86頁)
・初めてのソフトウェア無線&信号処理プログラミング(2応用編)_Part2_20220227(全70頁)
・初めてのソフトウェア無線&信号処理プログラミング(2応用編)_Part3_20220227(全82頁)
補助資料とソースコード(パスワードなし)
※本製品にはキットが付属しておりません.下記,Pico Stack SDRの設計データはすべて,参考用として提供するものです.
・1_PicoStackSDR_部品表_20220401.pdf
・2_PicoStackSDR_組み立てマニュアル_20220401.pdf
・3_PicoStackSDR_使い方マニュアル_20220401.pdf
・4_PicoStackSDR_回路図_20220401.pdf
・5_PicoStackSDR_program.zip
■講義の目標
・ディジタル・フィルタの原理を理解する
・フーリエ変換,ラプラス変換,z変換とは何か説明できるようになる
・電気・電子技術全体を見渡し,必要な理論を取捨選択できるようにする
・回路設計やディジタル信号処理に必要な数学を身に着ける
・初等関数,微分・積分を理解し,各種の専門書を自分で読みこなせるようになる
■読者対象
・アナログ計測器や無線機のディジタル化を検討している方
・ディジタル信号処理の学習を始めたい方
・電子回路理論の学習を始めたい方
・数学の知識を整理整頓したい方,学びなおしたい方
・フーリエ解析を学びたい方
・微分・積分を学びたい方
・エンジニアとして「定量的な設計」をしたい方
主な著書
1.電子回路のキホン 要点マスタ50,トランジスタ技術,2015年5月号,別冊付録,CQ出版社.
2.情熱のフル・ディスクリートFMラジオ,トランジスタ技術,2016年1月号 特集 第5章,CQ出版社.
3.本質理解!万能アナログ回路塾,トラジスタ技術,2017年9月号,連載,CQ出版社.
4.初等関数と微分・積分,2019年,CQ出版社.
5.月着陸船アポロに学ぶ確率統計コンピュータ,トランジスタ技術,2019年7月号 特集,CQ出版社.
6.大解剖!CPUはこうやって動いている,トランジスタ技術,2020年5月号 特集,CQ出版社.
■関連製品
1.【動画セミナ】実習キットでできる!ラズパイPicoでマイコン入門【実習用パーツセット,セミナ動画328分,講義テキスト194頁,お手本Pythonソースコード付き】【MZ-PICO-ON1】
2.【動画セミナ】実習キットでできる!ラズパイPico×Wi-FiモジュールでIoT超入門【MZ-PICO-ON2】
3.[動画セミナ]確率・統計処理&真値推定!自動運転時代のカルマン・フィルタ入門(再生時間 828分,テキスト697頁+実習用シミュレータ付き)
4.[動画セミナ]故障推定から画像認識まで!「主成分分析」による最高性能AIエッジ開発入門(再生時間 570分,テキスト326頁+実習用ソースコード付き)
5.[セミナ動画302分+講義テキスト133頁+MAX10 FPGAスタータキット DE10-Lite付き]一緒に動かそう!Lチカから始めるFPGA開発
6.[キット・モジュール]MAX10 FPGA搭載USB SDRモジュール MZ-MAX10USBSDR
■略歴
- 2011年 東京工業大学 工学部 電気電子工学科 卒業
- 2013年 東京工業大学大学院 理工学研究科 電子物理工学専攻 修了
- 2013年 株式会社アドバンテスト 入社
- 2016年 株式会社村田製作所 入社
- 2019年 リニア・テック 開業
■パーツキットと講義動画でプロの技術を1日習得
スピードマスタ・シリーズ
電子回路・基板設計からプログラミングまで,エンジニアがマスタすべき技術は多岐にわたり,開発期間も短くなっています.多くの書物を読み漁ったり,玉石混交のネット情報に振り回されたりしている暇はありません.
本シリーズには,各分野の一線で活躍する技術者が厳選したパーツセット,設計の要点を効率よく解説するセミナ動画,講義テキスト,お手本ソースコードなどが同梱されています.百戦錬磨の技を一見することで,未経験の技術が驚くほど短時間で身につくだけでなく,信頼性の高いシステム開発に必要なプロの眼が養われます.